日本ボランティア学会2007年度版学会誌

特集 多様な市民知の邂逅:大阪・釜ヶ崎/あいりん地域における社会的包摂(ソーシャル・インクルジョン)への実践を例に

(A5判192ページ)
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CONTENTS

□巻頭インタビュー│市民運動の経験はいかに「継承」しうるか
──吉川勇一(元ベ平連事務局長)×中村陽一(立教大学大学院)

特集 多様な市民知の邂逅:大阪・釜ヶ崎/あいりん地域における社会的包摂(ソーシャル・インクルジョン)への実践を例に

■釜ヶ崎1999年転回と多様な市民知の邂逅
──水内俊雄(大阪市立大学都市研究プラザ)

■棲み処(ハビタット)としての釜ヶ崎のまちづくり:「居住のはしご」論によるホームレス支援の10年を振り返る(試論I)
──ありむら潜(釜ヶ崎のまち再生フォーラム、漫画家)

■分断を乗り越えるために:釜ヶ崎における萩之茶屋第六町会と簡宿組合の理念と活動
──西口宗宏(大阪府簡宿組合、萩之茶屋第六町会)/原口剛(学振特別研究員・神戸大学、大阪市立大学都市研究プラザ)

■市民館の本来的活動を目指して:西成市民館のこの1年間の実践報告
──河崎洋充(西成市民館)

■差異の包摂に向けて:大阪市西成区、浪速区でのアート実践
──中川真(大阪市立大学大学院)

学会発
□コラム│社会的排除からの繋がりへ:〈私たち〉のcafe連をめぐって
──猪瀬浩平(見沼・風の学校、明治学院大学)

□寄稿│ボランティア(volunteer)の生成:末次一郎の戦争体験と陸軍中野学校
──秋葉武(立命館大学)

投稿
□論文│スペシャルオリンピックスおよびそのボランティアの社会的意義:「500万人トーチラン」および2005年冬季世界大会・長野の事例を中心に
──小森亜紀子

□論文│ボランティアによる識字学習支援の可能性と限界性:学習者とスタッフの関係性に着目して
──添田祥史

□研究ノート│福祉系大学生の小・中・高等学校における「ボランティア活動体験」の分析と、その後の「ボランティア活動」に対する意欲との関連
──荒川裕美子

□研究ノート│シニア起業家におけるボランティア意識の芽生え:介護予防を中心とした高齢者向け事業の創業から
──中嶌剛


▼僕は最近、経験の継承ということ自体を目標としてはいけないんだ、と思っています。つまり、継承してもらいたいからといって、わかりやすい言葉に言い換えようとか、イラストを使ったらどうかとか、そういう小手先の技術で経験が継承されるようになることはないと思うのです。小田実さんは最期まで、かたくなに同じことを言い続けていました。彼の大阪大空襲の話と被害者にして加害者になるという話を、僕は何十回聞いたかわかりません。(吉川勇一)

▼こうしてできた市民的しくみの中で実際に脱野宿を果たし、畳の上にあがっておだやかな暮らしを始めたおっちゃんたちが、やがて2005年頃から「ひろば」デビューしてくる。全体のほんの一部といえば一部ではあるが。
 この頃から「ひろば」は「おっちゃん(住民)参加型」のテーマや講師に切り変えてきた。「支援者だらけ」」でもなく、「労働者や元労働者だらけ」でもなく、バランスがとれたかたちに少し近づきつつあるともいえる。いつしか大阪市立大学都市研究プラザの現場サテライトである西成プラザも加わり、多様性・協働性は格段に増した。おっちゃんたち自身のガイドによる「釜ヶ崎のまちスタディツアー」や「紀州街道歩き」シリーズなども組み合わせて、これからは『住民参加のはしご』(都市計画家シェリー・アーンスティン)も昇ろうとメッセージしていきたい。(ありむら潜)

▼帝国陸軍は国家に忠実な兵士、soldierを育成したのに対して、中野学校は「志願兵、義勇兵」を意味するvolunteerの養成機関だった。中野学校は国家を「絶対化」するのではなく、「相対化」して捉えていた。「国家を超越した個人」が、「祖国や民族」に対して、主体的に奉仕することを求めた。末次が戦後、青年運動、ボランティア支援の活動をライフワークにすることを考えると示唆的である。(秋葉武)

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